○都農町における障がいを理由とする差別の解消の推進に関する対応要領
令和6年3月14日
要領第1号
(趣旨)
第1条 都農町における障がいを理由とする差別の解消の推進に関する対応要領(以下「対応要領」という。)は障がいを理由とする差別の解消の推進に関する法律(平成25年法律第65号。以下「法」という。)第9条第1項の規定に基づき、また、障がいを理由とする差別の解消の推進に関する基本方針(平成27年2月24日閣議決定)に即して、法第7条に規定する事項に関し、都農町職員(会計年度任用職員を含む。以下「職員」という。)が適切に対応するために必要な事項を定めるものとする。
(不当な差別的取扱いの禁止)
第2条 職員は、法第7条第1項の規定のとおり、その事務又は事業を行うに当たり、障がい(身体障がい、知的障がい、精神障がい(発達障がい及び高次脳機能障がいを含む。)その他の心身の機能の障がい(難病等により起因する障がいを含む。)をいう。以下同じ。)を理由として、障がい者(障がい及び社会的障壁により断続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるもの。以下同じ。)でない者と不当な差別的取扱いをすることにより、障がい者の権利利益を侵害してはならない。これに当たり、職員は、別紙に定める留意事項に留意するものとする。なお、「望ましい」と記載している内容は、それを実施しない場合であっても、法に反すると判断されることはないが、障害者基本法(昭和45年法律第84号)の基本的な理念及び法の目的を踏まえ、できるだけ取り組むことが望まれることを意味する(次条において同じ。)。
(合理的配慮の提供)
第3条 職員は、法第7条第2項の規定のとおり、その事務又は事業を行うに当たり、障がい者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障がい者の権利利益を侵害することとならないよう、当該障がい者の性別、年齢及び障がいの状態に応じて、社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮(以下「合理的配慮」という。)の提供をしなければならない。これに当たり、職員は別紙に定める留意事項に留意するものとする。
(1) 日常の執務を通じた指導等により、障がいを理由とする差別の解消に関し、その監督する職員の注意を喚起し、障がいを理由とする差別の解消に関する認識を深めさせること。
(2) 障がい者等から不当な差別的取扱い、合理的配慮の不提供に対する相談、苦情の申し出等があった場合は、迅速に状況を確認すること。
(3) 合理的配慮の必要性が確認された場合、監督する職員に対して、合理的配慮の提供を適切に行うよう指導すること。
2 課長等は、障がいを理由とする差別に関する問題が生じた場合には、迅速かつ適切に対処しなければならない。
(相談体制の整備)
第5条 都農町に、その職員による障がいを理由とする差別に関する障がい者及びその家族その他の関係者からの相談等に的確に対応するため、福祉課に相談窓口を置く。
2 相談等を受ける場合は、性別、年齢、状態等に配慮するとともに、対面のほか、電話、ファクシミリ、電子メールに加え、障がい者が他人とコミュニケーションを図る際に必要となる多様な手段を可能な範囲で用意して対応するものとする。
3 第1項の相談窓口に寄せられた相談等は、相談者のプライバシーに配慮しつつ関係者間で情報共有を図り、以後の相談等において活用することとする。
4 第1項の相談窓口は、必要に応じ、充実を図るよう努めるものとする。
(研修・啓発)
第6条 都農町において、障がいを理由とする差別の解消の推進を図るため、職員に対し、必要な研修・啓発を行うものとする。
2 新たに職員となった者に対しては、障がいを理由とする差別の解消に関する基本的な事項について理解させるために、また、新たに各課長等となった職員に対しては、障がいを理由とする差別の解消等に関し求められる役割について理解させるために、それぞれ、研修を行うものとする。
3 職員に対し、障がいの特性を理解させるとともに、適切に対応するために対応要領等を活用し、意識の啓発を図る。
附則
この要領は、令和6年4月1日から施行する。
第1 不当な差別的取扱いの基本的な考え方
法は、障がい者に対して、正当な理由なく、障がいを理由として、財・サービスや各種機会の提供を拒否する又は提供に当たって場所・時間帯などを制限する、障がい者でない者に対しては付さない条件を付けることなどにより、障がい者の権利利益を侵がいすることを禁止している。なお、車椅子、補助犬その他の支援機器等の利用や介助者の付添い等の社会的障壁を解消するための手段の利用等を理由として行われる不当な差別的取扱いも、障がいを理由とする不当な差別的取扱いに該当する。
また、障がい者の事実上の平等を促進し、又は達成するために必要な特別の措置は、不当な差別的取扱いではない。したがって、障がい者を障がい者でない者と比べて優遇する取扱い(いわゆる積極的改善措置)、法に規定された障がい者に対する合理的配慮の提供による障がい者でない者との異なる取扱いや、合理的配慮を提供等するために必要な範囲で、プライバシーに配慮しつつ障がい者に障がいの状況等を確認することは、不当な差別的取扱いには当たらない。
このように、不当な差別的取扱いとは、正当な理由なく、障がい者を、問題となる事務又は事業について、本質的に関係する諸事情が同じ障がい者でない者より不利に扱うことである点に留意する必要がある。
なお、別紙中、「望ましい」と記載している内容は、それを実施しない場合であっても、法に反すると判断されることはないが、障がい者基本法(昭和45年法律第84号)の基本的な理念及び法の目的を踏まえ、できるだけ取り組むことが望まれることを意味する。
第2 正当な理由の判断の視点
正当な理由に相当するのは、障がい者に対して、障がいを理由として、財・サービスや各種機会の提供を拒否するなどの取扱いが客観的に見て正当な目的の下に行われたものであり、その目的に照らしてやむを得ないと言える場合である。正当な理由に相当するか否かについては、具体的な検討をせずに正当な理由を拡大解釈するなどして法の趣旨を損なうことなく、個別の事案ごとに、障がい者、第三者の権利利益(例:安全の確保、財産の保全、損がい発生の防止等)及び事務又は事業の目的・内容・機能の維持等の観点に鑑み、具体的場面や状況に応じて総合的・客観的に判断することが必要である。
職員は、正当な理由があると判断した場合には、障がい者にその理由を丁寧に説明し、理解を得るよう努めることが望ましい。その際、職員と障がい者の双方が、お互いに相手の立場を尊重しながら相互理解を図ることが求められる。
第3 不当な差別的取扱いの例
正当な理由がなく、不当な差別的取扱いに該当すると考えられる例及び正当な理由があるため、不当な差別的取扱いに該当しないと考えられる例は以下のとおりである。なお、記載されている内容はあくまでも例示であり、これらの例だけに限られるものではないこと、正当な理由に相当するか否かについては、個別の事案ごとに、前述の観点等を踏まえて判断することが必要であること及び正当な理由があり不当な差別的取扱いに該当しない場合であっても、合理的配慮の提供を求められる場合には別途の検討が必要であることに留意する。
(正当な理由がなく、不当な差別的取扱いに該当すると考えられる例)
○ 障がいがあることを理由として、一律に窓口対応を拒否する。
○ 障がいがあることを理由として、一律に対応の順序を後回しにする。
○ 障がいがあることを理由として、一律に書面の交付、資料の送付、パンフレットの提供等を拒んだり、資料等に関する必要な説明を省いたりする。
○ 障がいがあることを理由として、一律に説明会、シンポジウム等への出席を拒む。
○ 事務・事業の遂行上、特に必要ではないにもかかわらず、障がいを理由に、来庁の際に付き添い者の同行を求めるなどの条件を付けたり、特に支障がないにもかかわらず、障がいを理由に付き添い者の同行を拒む。
○ 障がいの種類や程度、サービス提供の場面における本人や第三者の安全性などについて考慮することなく、漠然とした安全上の問題を理由に施設利用を拒否する。
○ 業務の遂行に支障がないにもかかわらず、障がい者でない者とは異なる場所での対応を行う。
○ 障がいがあることを理由として、障がい者に対して、言葉遣いや接客の態度など一律に接遇の質を下げる。
(正当な理由があるため、不当な差別的取扱いに該当しないと考えられる例)
○ 実習を伴う講座において、実習に必要な作業の遂行上具体的な危険の発生が見込まれる障がい特性のある障がい者に対し、当該実習とは別の実習を設定する。(障がい者本人の安全確保の観点)
○ 車椅子の利用者が畳敷きの個室を希望した際に、敷物を敷く等、畳を保護するための対応を行う。(行政機関の損がい発生の防止の観点)
○ 行政手続を行うため、障がい者本人に同行した者が代筆しようとした際に、必要な範囲で、プライバシーに配慮しつつ、障がい者本人に対し障がいの状況や本人の手続の意思等を確認する。(障がい者本人の損がい発生の防止の観点)
第4 合理的配慮の基本的な考え方
1 障がい者の権利に関する条約(以下「権利条約」という。)第2条において、「合理的配慮」は、「障がい者が他の者との平等を基礎として全ての人権及び基本的自由を享有し、又は行使することを確保するための必要かつ適当な変更及び調整であって、特定の場合において必要とされるものであり、かつ、均衡を失した又は過度の負担を課さないもの」と定義されている。
法は、権利条約における合理的配慮の定義を踏まえ、行政機関等に対し、その事務又は事業を行うに当たり、個々の場面において、障がい者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障がい者の権利利益を侵がいすることとならないよう、社会的障壁の除去の実施について、合理的配慮を行うことを求めている。合理的配慮は、障がい者が受ける制限は、障がいのみに起因するものではなく、社会における様々な障壁と相対することによって生ずるものとのいわゆる「社会モデル」の考え方を踏まえたものであり、障がい者の権利利益を侵がいすることとならないよう、障がい者が個々の場面において必要としている社会的障壁を除去するための必要かつ合理的な取組であり、その実施に伴う負担が過重でないものである。
2 合理的配慮は、事務又は事業の目的・内容・機能に照らし、必要とされる範囲で本来の業務に付随するものに限られること、障がい者でない者との比較において同等の機会の提供を受けるためのものであること、事務又は事業の目的・内容・機能の本質的な変更には及ばないことに留意する必要がある。その提供に当たってはこれらの点に留意した上で、当該障がい者が現に置かれている状況を踏まえ、社会的障壁の除去のための手段及び方法について、当該障がい者本人の意向を尊重しつつ「第5 過重な負担の基本的な考え方」に掲げる要素を考慮し、代替措置の選択も含め、双方の建設的対話による相互理解を通じて、必要かつ合理的な範囲で、柔軟に対応がなされる必要がある。建設的対話に当たっては、障がい者にとっての社会的障壁を除去するための必要かつ実現可能な対応案を障がい者と職員が共に考えていくために、双方がお互いの状況の理解に努めることが重要である。例えば、障がい者本人が社会的障壁の除去のために普段講じている対策や、当該行政機関として対応可能な取組等を対話の中で共有する等、建設的対話を通じて相互理解を深め、様々な対応策を柔軟に検討していくことが円滑な対応に資すると考えられる。さらに、合理的配慮の内容は、技術の進展、社会情勢の変化等に応じて変わり得るものである。合理的配慮の提供に当たっては、障がい者の性別、年齢、状態等に配慮するものとし、特に障がいのある女性に対しては、障がいに加えて女性であることも踏まえた対応が求められることに留意する。
なお、障がい者との関係性が長期にわたる場合には、その都度の合理的配慮の提供ではなく、後述する環境の整備を考慮に入れることにより、中・長期的なコストの削減・効率化につながる点は重要である。
3 意思の表明に当たっては、具体的場面において、社会的障壁の除去に関する配慮を必要としている状況にあることを言語(手話を含む。)のほか、点字、拡大文字、筆談、実物の提示や身振りサイン等による合図、触覚による意思伝達など、障がい者が他人とコミュニケーションを図る際に必要な手段(通訳等を介するものを含む。)により伝えられる。
また、障がい者からの意思表明のみでなく、障がいの特性等により本人の意思表明が困難な場合には、障がい者の家族、支援者・介助者、法定代理人等、コミュニケーションを支援する者が本人を補佐して行う意思の表明も含む。
なお、意思の表明が困難な障がい者が、家族、支援者・介助者、法定代理人等を伴っていない場合など、意思の表明がない場合であっても、当該障がい者が社会的障壁の除去を必要としていることが明白である場合には、法の趣旨に鑑みれば、当該障がい者に対して適切と思われる配慮を提案するために建設的対話を働きかけるなど、自主的な取組に努めることが望ましい。
4 合理的配慮は、不特定多数の障がい者等の利用を想定して事前に行われる建築物のバリアフリー化、介助者等の人的支援、情報アクセシビリティの向上等の環境の整備を基礎として、個々の障がい者に対して、その状況に応じて個別に実施される措置である。したがって、各場面における環境の整備の状況により、合理的配慮の内容は異なることとなる。また、障がいの状態等が変化することもあるため、特に、障がい者との関係性が長期にわたる場合等には、提供する合理的配慮について、適宜、見直しを行うことが重要である。なお、多数の障がい者が直面し得る社会的障壁をあらかじめ除去するという観点から、他の障がい者等への波及効果についても考慮した環境の整備を行うことや、相談・紛争事案を事前に防止する観点から、合理的配慮の提供に関する相談対応等を契機に、内部規則やマニュアル等の制度改正等の環境の整備を図ることも有効である。
第5 過重な負担の基本的な考え方
過重な負担については、具体的な検討をせずに過重な負担を拡大解釈するなどして法の趣旨を損なうことなく、個別の事案ごとに、以下の要素等を考慮し、具体的場面や状況に応じて総合的・客観的に判断することが必要である。
職員は、過重な負担に当たると判断した場合は、障がい者に丁寧にその理由を説明し、理解を得るよう努めることが望ましい。その際には前述のとおり、職員と障がい者の双方が、お互いに相手の立場を尊重しながら、建設的対話を通じて相互理解を図り、代替措置の選択も含めた対応を柔軟に検討することが求められる。
○ 事務又は事業への影響の程度(事務又は事業の目的・内容・機能を損なうか否か)
○ 実現可能性の程度(物理的・技術的制約、人的・体制上の制約)
○ 費用・負担の程度
第6 合理的配慮の例
第4で示したとおり、合理的配慮は、具体的場面や状況に応じて異なり、多様かつ個別性の高いものであるが、例としては、次のようなものがある。
なお、記載した例はあくまでも例示であり、必ず実施するものではないこと、記載されている例以外であっても合理的配慮に該当するものがあることに留意する必要がある。
(合理的配慮に当たり得る物理的環境への配慮の例)
○ 段差がある場合に、車椅子利用者にキャスター上げ等の補助をする、携帯スロープを渡すなどする。
○ 配架棚の高い所に置かれたパンフレット等を取って渡す。パンフレット等の位置を分かりやすく伝える。
○ 目的の場所までの案内の際に、障がい者の歩行速度に合わせた速度で歩いたり、前後・左右・距離の位置取りについて、障がい者の希望を聞いたりする。
○ 障がいの特性により、頻回に離席の必要がある場合に、会場の座席位置を扉付近にする。
○ 疲労を感じやすい障がい者から別室での休憩の申出があった際、別室の確保が困難である場合に、当該障がい者に事情を説明し、対応窓口の近くに長椅子を移動させて臨時の休憩スペースを設ける。
○ 不随意運動等により書類等を押さえることが難しい障がい者に対し、職員が書類を押さえたり、バインダー等の固定器具を提供したりする。
○ 災がいや事故が発生した際、館内放送で避難情報等の緊急情報を聞くことが難しい聴覚障がいのある者に対し、手書きのボード等を活用するなど、分かりやすく案内し誘導を図る。
○ 庁舎内等や町主催イベント会場等において知的障がいのある子供が発声やこだわりのある行動をしてしまう場合に、保護者から子供の特性やコミュニケーションの方法等について聞き取った上で、落ち着かない様子のときは個室等に誘導する。
○ 視覚障がいのある者からトイレの個室を案内するよう求めがあった場合に、求めに応じてトイレの個室を案内する。その際、同性の職員がいる場合は、障がい者本人の希望に応じて同性の職員が案内する。
(合理的配慮に当たり得る情報の取得、利用及び意思疎通への配慮の例)
○ 筆談、読み上げ、手話、点字、拡大文字、触覚による意思伝達等のコミュニケーション手段を用いる。
○ 会議資料等について、点字、拡大文字などの形式が異なる資料を使用する際は、ページ番号等の違いに配慮した説明を行う。
○ 会議の進行に当たり、資料を見ながら説明を聞くことが困難な視覚又は聴覚に障がいのある委員や知的障がいのある委員に対し、ゆっくり、丁寧な進行を心掛けるなどの配慮を行う。
○ 会議の進行に当たっては、職員等が委員の障がいの特性に合ったサポートを行うなど、可能な範囲での配慮を行う。
○ 意思疎通が不得意な障がい者に対し、絵カード等を活用して意思を確認する。
○ 駐車場などで通常、口頭で行う案内を、紙にメモをして渡す。
○ 書類記入の依頼時に、記入方法等を本人の目の前で示したり、分かりやすい記述で伝達したりする。本人の依頼がある場合には、代読や代筆といった配慮を行う。
○ 比喩表現等が苦手な障がい者に対し、比喩や暗喩、二重否定表現などを用いずに具体的に説明する。
○ 障がい者から申出があった際に、ゆっくり、丁寧に、繰り返し説明し、内容が理解されたことを確認しながら応対する。また、なじみのない外来語は避ける、漢数字は用いない、時刻は24時間表記ではなく午前・午後で表記するなどの配慮を念頭に置いたメモを、必要に応じて適時に渡す。
(ルール・慣行の柔軟な変更の例)
○ 順番を待つことが苦手な障がい者に対し、周囲の者の理解を得た上で、手続き順を入れ替える。
○ 立って列に並んで順番を待っている場合に、周囲の者の理解を得た上で、当該障がい者の順番が来るまで別室や席を用意する。
○ スクリーン、手話通訳者、板書等がよく見えるように、スクリーン等に近い席を確保する。
○ 車両乗降場所を施設出入口に近い場所へ変更する。
○ 他人との接触、多人数の中にいることによる緊張等により、不随意の発声等がある場合、当該障がい者に説明の上、障がいの特性や施設の状況に応じて別室を準備する。
○ 非公表又は未公表情報を扱う会議等において、情報管理に係る担保が得られることを前提に、障がいのある委員の理解を援助する者の同席を認める。
また、合理的配慮の提供義務違反に該当すると考えられる例及び該当しないと考えられる例としては、次のようなものがある。なお、記載されている内容はあくまでも例示であり、合理的配慮の提供義務違反に該当するか否かについては、個別の事案ごとに、前述の観点等を踏まえて判断することが必要であることに留意する。
(合理的配慮の提供義務違反に該当すると考えられる例)
○ 庁舎内や町主催イベント等の移動に際して支援を求める申出があった場合に、「何かあったら困る」という抽象的な理由で具体的な支援の可能性を検討せず、支援を断ること。
○ 電話利用が困難な障がい者から電話以外の手段により各種手続が行えるよう対応を求められた場合に、マニュアル上、当該手続は利用者本人による電話のみで手続可能とすることとされていることを理由として、メールや電話リレーサービスを介した電話等の代替措置を検討せずに対応を断ること。
○ 介助を必要とする障がい者から、講座の受講に当たり介助者の同席を求める申出があった場合に、当該講座が受講者本人のみの参加をルールとしていることを理由として、受講者である障がい者本人の個別事情や講座の実施状況等を確認することなく、一律に介助者の同席を断ること。
○ 自由席での開催を予定しているセミナーにおいて、弱視の障がい者からスクリーンや板書等がよく見える席でのセミナー受講を希望する申出があった場合に、事前の座席確保などの対応を検討せずに「特別扱いはできない」という理由で対応を断ること。
(合理的配慮の提供義務に反しないと考えられる例)
○ 事務の一環として行っていない業務の提供を求められた場合に、その提供を断ること。(必要とされる範囲で本来の業務に付随するものに限られることの観点)
○ 抽選申込みとなっている講座への参加について、抽選申込みの手続きを行うことが困難であることを理由に、講座への参加を事前に確保しておくよう求められた場合に、当該対応を断ること。(障がい者でない者との比較において同等の機会の提供を受けるためのものであることの観点)
○ イベント当日に、視覚障がいのある者から職員に対し、イベント会場内を付き添ってブースを回ってほしい旨頼まれたが、混雑時であり、対応できる人員がいないことから対応を断ること。(過重な負担(人的・体制上の制約)の視点)